
この記事では、シマノの17クラドKのオーバーホールのやり方について解説します。
クラドKは日本で発売されていない海外モデルですが、同型のスコーピオンMGLより約2年早く発売したモデルなので、海外から購入した人もいるでしょう。
このリールをオーバーホールして驚いたことは、リールの天井である「サムレスト」。
なんとサムレストが接着剤らしきもので固定されていて、ネジを外しただけでは取れない仕様になっていました。
とはいえ、それ以外の部分は一般的な構造のベイトリールです。
それでは、クラドKの分解と組立のやり方を解説していきます。
ハンドル部の取り外し
まず最初はハンドル部分のパーツの取り外しです。
パーツを外していくと、ローラークラッチベアリングの前に、旧モデルにはなかったベアリングが見えます。
最近の新モデルはこの部分にベアリングが入れられるようになりました。巻き上げトルクの向上が期待できます。
ハンドルからスタードラグや座金のパーツを全て取り外しました。
ベアリングの増設以外は、特に構造の変化はありません。
ギアの取り外し
ボディを開封すると、ドライブギアとピニオンギアが見えます。
やはりマイクロモジュールギアの歯面は、付いているグリスが少ないですね。
ドライブギアとピニオンギアを、傷つけないように外します。
ドラグ座金はカーボン製のものが使われています。
ドライブギアのグリスは少ないですが、他の部分にはグリスがベッタリ。
シマノのリールによくあるパターンです。
一番上のネジで、本体フレームとサムレストが固定されています。
次はドライブギア軸を外し、分解します。
クラドKのドライブギア軸にはベアリングが使われていますが、同型のスコーピオンMGLはなぜかプラスチックブッシュなんですよね。
ギアの色が黒色に変化していますが、仕組みは同じです。
サムレストの取り外しで驚きの事態
次に本体フレームからサムレストを取り外します。
ネジを外し、サムレストを取ろうとしたのですが…取れません。
固定ネジは全て取り外していても、取れません。
隙間に爪を入れ、慎重に外していきます。
親指を置く先端部分が、フレームに引っ付いて取れない。
嫌な予感がしますが、それでも慎重に外そうとすると…パキッ!という音と共に外れました。
サムレストの裏には、接着剤のような塊があります。
なぜ接着剤なんかで固定してるのでしょうか?
パーツの割れはありませんでした。
たぶん接着剤で、サムレストの先端は固定されていたようです…。
それを強引に剥がしたので、パキッと音が鳴ったようです。
この部分は分解しない方が良いかもしれません。
レベルワインドの取り外し
気を取り直して、作業を続けます。
次はレベルワインドのウォームシャフトを取り外します。
このクラドKは、レベルワインダーの両端がEリングで固定されています。
反対側のEリングも外します。
レベルワインドのウォームシャフトギアの分解が完了しました。
パイプの差込口のところに、防水のため?のゴム輪が新しく追加されていました。
クラッチや他のパーツの取り外し
最後にクラッチパーツを取り外します。
クラドKのクラッチは貫通式ですが、特に構造に変化はありません。
そしてサイドボディのベアリング等を外します。
クラドKの分解が完了
これにて、クラドKの完全分解が完了しました。
ハンドルノブの内部は4つ全てがカラーなので、これらはベアリングに変更した方が良いと思います。
各パーツをしっかり洗浄した後、組立てを開始します。
接着剤が使われていたサムレストがキッチリ固定されるか、少し不安です。
ハンドル・サイドボディの組立て
まずは左右のサイドボディとハンドルを組立てておきます。
ハンドルノブ内は4つのカラーが内蔵されていたので、それらを全てベアリングに交換しました。
SVSインフィニティの外部ダイヤルが動かせないほど硬かったので、一度分解・再調整してあります。
レベルワインダーの組立て
次は、レベルワインダーのウォームシャフトギアを組立てていきます。
17クラドKのウォームシャフトギアは両端がEリングで固定されています。
旧モデルまでは、ギアの付いている方はピンを挿すだけだったんですが…。
ギアを傷つけないように、Eリングをはめます。
その後フレームにパイプを差し込み、組み上げていきます。
最後にウォームシャフトピンをはめ込みます。
動きの確認をしたら、レベルワインダーの組立ては完了です。
クラッチの組立て
新しい貫通式のクラッチを組立てます。
パーツはクラッチ受けが一つ増えただけです。
駆動部分にしっかりグリスを塗り、組み上げます。
サムレストの取り付け
初期製造時に一部接着剤?で組まれていたサムレストの取り付けです。
3本のネジのうち、一本はレベルワインドガードと同じ取付穴を通しますので、同時に組立てます。
取り付けた後、接着剤が付いていた先端部分を触りましたが、特にグラツキなどはありません。
問題無しです。
…なんで接着剤みたいなものを使ったんでしょう?
ドライブギア軸の組立て
次は、ドライブギア軸を取り付けます。
軸にギアをはめる時、小さいピンやバネを飛ばさないように注意です。
ここのギアには、私は柔らかめのグリスを塗っています。
ここで、SVS側のサイドボディを取り付け、Eリングで固定します。
このEリングが非常に小さいので、慎重に作業してください。
私は何度かEリングを飛ばしてしまい、探し回った経験があります。
メインギアの取り付け
最後にドライブギアとピニオンギアを取り付けます。
クラドKはマイクロモジュールギアです。
非常に歯面が細かい訳ですが、私はこれにシマノの純正グリスは使いません。
マイクロモジュールギアと純正グリスの愛称は良くない、と私は思っています。
すぐにウィンウィンと大きく音鳴りしますし、グリスの油膜切れも早い感じがします。
私はBOREDさんのグリスを愛用しています。
そしてサイドボディを取り付け、ハンドルを組んでいきます。
クラドKのオーバーホール完了
全て組んで動きを確認して、異状なければオーバーホール完了です。
接着剤らしきもので固定されていたサムレストですが、今回のオーバーホールでは無理に外してしまいました。
その後釣り場で使っていても違和感はなかったので、サムレストを分解しても問題ないようです。
とはいえ、、無理に外す必要は全くない、むしろ外さない方が良いと思います。
サムレスト以外は従来のシマノのベイトリールと構造は同じなので、慎重に作業すれば問題なくオーバーホールできると思います。
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