100均の工具でオーバーホール インプレ

今回の記事では、リールをオーバーホールする工具として、100円ショップの安い工具で十分かどうかを検証します

リールをオーバーホールするための工具を集めようとすると、けっこうお金がかかります。

ドライバー、レンチ、ピンセットなどの工具や、パーツクリーナーやグリスなどのケミカル類。

これらをグレードの高い物だけで一通りそろえようとすると、けっこうな金額になります。

私は、

  • 完全分解して、全てのパーツをキッチリ洗浄しないと気が済まない正確。
  • 人からオーバーホールの依頼を受けることがある。

というタイプなので工具にもお金をかけました。

しかし私のようなタイプは少数派でしょう。
一般的には、

  • オーバーホールは1年1回だけ
  • 巻き心地が悪くなったから、ちょっとドライブギアにグリスを塗りたい

というように、ちょっとだけリールをいじりたいという人の方が多いでしょう。

あまり使わない工具にはお金をかけたくないと考える人もおられると思います。

はたして安い工具でも、オーバーホールする事に問題ないのか?

その疑問を検証するため、ダイソーやセリアといった100円ショップで販売されている工具で、自分の10スコーピオンXTをオーバーホールしてみました。

どれも100円(税込み110円)で販売されているものです。

リールをオーバーホールするための工具は100円ショップの物で十分なのか?

どの工具は100円でも十分で、どの工具は高価なものを使用した方が良いのか?

私が実際に購入して使用した感想を紹介します。

10スコーピオンXTを100均の工具でオーバーホール

オーバーホールしたリールは、最近購入した”10スコーピオンXT 1000”です。

10スコーピオンXT 分解

100円の工具の使いやすさの検証ですが、自分の大切なリールで失敗するわけにはいきません。

しっかりオーバーホールしました。

ちなみに、私が普段使用している工具については、下記の記事で紹介させていただいてます。

小さい”ドライバーセット”を使うのは危険

まず最初に使用したのが、メイン工具であるドライバー

今回は、ダイソーで100円で販売されているドライバーセットを使用しました。

ダイソー 100均のドライバーセット

私が過去に読んだタックルメンテナンスの本では、「精度の高い、それなりの価格のドライバーを使用しましょう」という事が書かれていました。

インターネットでも、「ドライバーはそれなりに良いものを」という意見が多いです。

しかし私は、それについて疑問も持っていました。

  • ドライバーの精度が高くても、ネジ穴の方の精度はそこまで高くないのでは?
  • そもそもネジ穴は柔らかく、すぐ変形するから、ドライバーの精度が高くても意味がないのでは?
  • 1本千円のドライバーを使用しても、ネジ穴を潰すときはある(私の実体験です))

以上のようなことを思っていたので、100円ドライバーでも問題無いだろうと思っていました。

今回使用したマイナスドライバーの先端に、バリによる突起があるなど、たしかに100円ドライバーの精度は悪いものでしたが…。

最大の問題点はグリップが短く小さいこと

しかし、ドライバーの先端の精度より重要なことがありました。

それは、ドライバーを押し込む力が入りにくいこと!

ネジをドライバーで回すときの力の入れ方は、「回す力は30%、押す力は70%」

しかし、今回使用した100円のドライバーは持ちにくかったため”押す力”を入れにくい

押す力が不十分なままネジを回したので、ハンドルナットのリテーナーのネジを外すとき、いきなりネジ穴を少し潰してしまいました…。

押す力を入れにくい原因は、ドライバーのグリップ部分が細く短いため

一番左が、今回使用した100円のドライバーセットの+ドライバーです。

ドライバーのグリップを比較

工具が「ドライバーセット」ということもあり、短く小さい形です。
小さくコンパクトな事は、収納の点では良いです。

しかし、作業のしやすさ、力の入れやすさという点では最悪でした

また、サイドボディのネジを外すとき、ある1本のネジが非常に強く締められていました。

けれど、小さい100円ドライバーでは力が入らず、ネジ穴を潰しそうな予感が…。

そこで今回は、マイナスドライバーで固いネジ緩めてから、プラスドライバーでネジを外しました

最初からプラスドライバーで外そうとすれば、多分ネジ穴を潰したでしょう。

もちろん、私が普段使用している”PBスイスツール”のドライバーなら、プラスドライバーだけで普通に外せます。

ドライバーの精度などの問題ではなく「グリップの小さくて力を入れにくい」という点で、ダイソーのドライバーセットが非常に使いにくいものでした

小さい「ドライバーセット」ではなく、1本~3本100円で売られている大きいドライバーならば、もっと使えたかもしれません。
または、付属の延長グリップを使うなど。

100均のドライバーとグリップ

100円で6本のドライバーがある「ドライバーセット」がお得!と思う人もいるでしょう。

あまり使う予定はないから、小さくコンパクトなドライバーが良いと思う人もいるでしょう。

いいえ、短く小さいドライバーは危険です!
それは、最もネジ穴を潰しやすいドライバーです!

グリップが大きいドライバーを使いましょう。

そういう点では、やっぱりドライバーに関しては、1本数百円のゴム製グリップのドライバーが良いでしょう。

特に、サイズ#00、#0のドライバーは良く使うので、少し良いものを買う事をオススメします

ハンドルナットを外すためのスパナ

スパナレンチはハンドルを固定しているナットを外すときに使います。

使用したのは、ダイソーのスパナ。
サイズは10mmです。

ダイソー 100均のスパナ

スパナに関しては、ハンドルナットを外すとき、締めるとき両方で問題なく使えました。

スパナに関しては、100円のものでも使えそうです。

ただ、高価なレンチ・スパナより精度は当然悪いので、わずかな隙間、ガタつきがあるかもしれません。

その場合、ナットにキズが付く場合があります。

もしキズが付くことを防ぐには、ナイロン袋の切れ端を1枚かませて作業すると良いでしょう

ナイロン袋の切れ端でナットを傷めないように外す

写真のようにナイロン袋の切れ端をかませれば、傷をある程度防げると思います。

極小パーツを掴みにくいダイソーのピンセット

小さいパーツを外すときに便利な工具がピンセット

こちらもダイソーの100円ピンセットを使用しました。

ダイソー 100均のピンセット

このダイソーの100円ピンセットは大失敗でした

実は一番最初に使用を諦めた工具が、この100円ピンセットです

その理由は、とにかく硬いこと!

物をつまむとき、普段使っているピンセットより2~3倍の力が必要でした

だから手が微妙に震え、パーツを掴み損ねて何回も飛ばしてしまいました。

「このピンセットより割り箸の方が使いやすそう」と思ったぐらいの使いにくさでした。

また、形状にも問題があります。
それは、ピンセットの先端が太いこと。

ピンセットの先端を比較

ピンセットの硬さと相まって、極小パーツを掴みにくいです。

写真のような、ヘコミにある音だしピンをつまもうとすると、高確率で飛ばしてしまうでしょう…。

音だしピンとピンセット

私が普段使用しているピンセットも、決して高いものではありません。

amazonで300円程度で販売されているものです。
しかし使いやすさには、大きな差がありました。

パーツ・ベアリング洗浄に使う瓶

パーツクリーナーでベアリングやパーツを洗浄する時に、容器を使うと便利です。

写真の瓶も、ダイソーで100円で販売されています。

100均の瓶

ベアリングを洗浄する時、下の写真のようにパーツクリーナーを溜めて、ベアリングを投入します。

ダイソーの瓶でベアリングを洗浄

普通のプラスチック容器にパーツクリーナーをいれると、溶けたり変形したりします

しかし瓶ならば、その心配もありません。

もちろんわざわざ購入しなくても、自宅に空き瓶があれば、それを使用すると良いでしょう。

パーツやギアの汚れを落とす歯ブラシ

パーツクリーナーで脱脂した後、パーツやギアをブラシで洗浄します。

選んだのは、ダイソーの細毛・やわらかめの歯ブラシ。

ダイソー 100均の歯ブラシ

今回はわざわざ購入しましたが、もちろん自分の使い古しの歯ブラシでOKです。

ただ、パーツを傷つける可能性を減らすため、私は柔らかめの歯ブラシを仕様しています。

グリスを塗る平筆

グリスをギア等に塗るときに便利なのが、平筆です。

こちらも4本組100円で、ダイソーで販売されていたものです。

ダイソー 100均の平筆

使用したのは、先端が小さい方の2本。

毛が抜けたりするようなこともなく、普通に使えました。

普段の私は、1本数百円のタミヤの平筆を使用していますが、グリスを塗るだけならダイソーの100円平筆でも問題ありませんでした

毛さえ抜けなければ、どんな筆でもグリスを塗る使用感は同じだと思います。

パーツを並べるためのトレー

分解したパーツを並べる時に便利なのが、ステンレストレー

下の写真のトレーは、セリアで100円で販売されているものです。

100均のトレー

ダイソーのステンレストレーは200円だったのでパスしました。

これに関しては、私も普段からセリアで購入した100円ステンレストレーを使用していますし、何も問題ありません。

また、大きいお菓子の缶などのフタを使用しても良いでしょう。

まとめ

ダイソーやセリアで販売されている100円(税込み108円)の工具を実際に使い、リールをオーバーホールしました。

まとめると、このようになります。

100円工具でOK
  • スパナ、レンチ
  • 平筆
  • 歯ブラシ
  • ステンレストレー
良い道具の購入をオススメ
  • ドライバー
  • ピンセット

やっぱり、「ドライバーは少し良いものを使いましょう」という結果でした。

一度ネジ穴を潰してしますと、最悪の場合はネジを外せなくなりますから。

そのリスクを考えれば、あまりオーバーホールをする予定が無い人でも、1本数百円のドライバーを購入することをオススメします。

またピンセットについても、数百円の精密ピンセットを使用してください。

最近はベイトフィネスリールをはじめ、小さいネジやパーツが増えています。

それらは指で付け外しするより、ピンセットで作業した方が確実です。

指で座金などを外すと、裏表が分からなくなったりしませんか?

小さいパーツを落として紛失すると、オーバーホールがストップしてしまいます。

一個数百円のもので十分です。
数百円の投資をするだけで、オーバーホールを無事に終了する確率はグッと上がります。