
この記事では、スピニングリールのドラグのメンテナンス方法について解説します。
先日、バスがヒットしたときのこと。
滑らかに動作するドラグは「ジィィィィィ!!」とスムーズに出るのに対して、私のステラのドラグは「ジジッ…ジジッ…」と何か引っかかっているようなカクカクした動き…。
その時、ふと思いました。
「このステラは中古で買ったけど、一度もドラグの状態を確認してなかったなあ…」
外見がキレイで巻き心地も滑らかだったので、特に分解やメンテナンスせずに使っていました。
帰宅後、ステラのドラグを確認すると、ドラグ座金がカラッカラに乾いていました!
ドラググリスがほとんど乾いていたため、ステラのドラグ性能がまったく発揮されてなかったようです。
そこで、しっかりとスプール・ドラグの清掃とグリスアップを実行しました。
最高級のスピニングリールを使っていても、ドラグのメンテナンスを怠れば性能が発揮されません。
リールをよく水洗いする海釣り人はもちろん、スムーズにドラグを出す必要があるフィネスの釣りをするバスアングラー、管釣りやアジングで極細ラインを使う人など、スピニングリールを使う全ての人に、ドラグのメンテナンスは必要だと思います。
また、スピニングリールのドラグのグリスが乾いたり乳化している時も、ドラグがスムーズに動きません。
スピニングリールのラインローラーなどにオイルを注すメンテナンスをしたことがある人は多いでしょうが、ドラグを分解してメンテナンスした経験がある人は少ないのでは?
しかし安心してください。
スピニングリールのドラグのメンテナンスはカンタンです。
必要な工具や、基本的なメンテナンス方法を詳しく紹介していきます。
ドラグのメンテナンスでやることとは?
スピニングリールのドラグをメンテナンスするとき、やる箇所は主に2つ。
「スプールのドラグ座金」と「メインシャフトのスプール受け」です。
スプールのドラグ座金のメンテナンス
スピニングリールのドラグのメンテナンスで一番重要なのは、「ドラグ座金の清掃とグリスアップ」。
これをしっかりやっておけば、ほとんど問題はないでしょう。
機種によりますが、小さいスピニングリールのドラグ座金はフェルト製、大きいスピニングリールはカーボン製のものが複数枚入ったりしています。
価格が高いリールのスプールにはベアリングも入っているので、ベアリングの清掃もしておきたい。
もしドラグ座金が摩耗していたり傷んでいた時は、必ず交換したいところです。
メインシャフトのメンテナンス
スプールのドラグ座金のメンテナンスが一番大切ですが、余裕があれば、「メインシャフトのスプール受け」の部分もメンテナンスしたい。
スプールを下部・内側から支える部分であり、シマノの「リジットサポートドラグ」>搭載リールは、この部分もベアリング装備しています。
スプール内のベアリングとメインシャフトのスプール受けのベアリングの2つでスプールを支持していることで、強い負荷がかかった時も滑らかに安定したドラグが作動するのです。
そのような理由があるので、余裕があればメインシャフトののスプール受けの清掃も行っておきたい場所なのです。
使用する工具
今回の14ステラのドラグのメンテナンスで使用した工具を紹介します。
- ピンセット
- キムワイプ or キッチンペーパー
- ベアリングチェックツール
- 六角レンチ (0.89mm~0.9mm)
- ブラシ (清掃用)
- 綿棒 (清掃用)
- ドラググリス (私は「LDG」を使用)
- オイル
- パーツクリーナー
道具の中で重要なのが「ドラググリス」です。
私はリールに使用しているオイル・グリスはボアード製のものに統一しているので、「LDG」というグリスを使用しました。
しかし一般的には、各メーカーが販売している「スピニングリールのドラグ専用グリス」を使用することをオススメします。
シマノのスピニングリールの場合は「DG01」、SW用のリールの場合は、「DG12」が純正のドラググリスです。
ダイワの場合は少し特殊。
ダイワの最近のスピニングリールでは、ドラグの種類が「UTD」と「ATD」があります。
「UTD」には専用の「アルティメット トーナメント ドラググリス」があるようですが、「ATD」の専用グリスは現在のところ販売されていません。
他の有名なドラググリスとしては、IOSファクトリーのドラググリス「しろくま」があります。
しろくまは少し高価ですが、さすがIOSファクトリー社製。
どんな天候状況でも良い性能を発揮します。
スプールの分解のやり方
それでは、一番大切なスプールから作業を開始します。
まずは、「スプール」と「ドラグノブ」を外します。
ピンセットを使って、スプール内の「抜け止めバネ」と「座金」を外します。
金属製の座金を外すと、フェルト製の「ドラグ座金」が見えます。
…やっぱりグリスっ気がありません。
グリスが多めについてるぐらいがちょうど良いドラグ座金ですが、なんだかパサパサしています。
これは悪い状態です。
あとは、スプール内部の「ベアリング」と「抜け止めバネ」を外せば、スプールの分解は完了です。
スプールの裏面に音出しバネなどがありますが、そこは触る必要はありません。
機種によってはドラグ座金の枚数が違ったりしますが、スプールのパーツはシンプルなので、分解に苦労はしないと思います。
メインシャフトのスプール受けの分解のやり方
次はメインシャフトのスプール受け関連のパーツを分解します。
重要性としてはスプールより下がりますが、余裕があればやっておきたいところ。
まずは黒い「スプール座金」を外します。普通に引っ張れば抜き取れます。
次メインシャフトに締めこまれているネジのようなものを外す必要があります。
ここで必要になる工具が0.89mm~0.9mmの六角レンチ。これを使ってネジを外します。
六角レンチがないと作業を行うことができないのが、スプール受けの分解なのです。
ネジを外したら、順番にパーツを抜き取っていきます。
これで、メインシャフトのスプール受けの分解作業は完了です。
ドラグパーツの清掃のやり方
次は分解したパーツを清掃していきます。
ドラグ座金の清掃
まずは一番大切なドラグ座金です。
パーツクリーナーを吹きかけて、グリスを落とします。
そしてキッチンペーパーやキムワイプなどで、水分を完全に取り除きます。
その他のパーツの清掃
パーツクリーナーに分解したパーツを投入して洗浄していきます。
樹脂パーツやゴムを長時間つけると傷む可能性があるので、注意が必要。
プラスチックにも優しいパーツクリーナーを使ったり、洗剤で普通に洗うのもアリです。
ベアリングにも、パーツクリーナーを吹きかけて洗浄しましょう。
海釣りで使用している場合は、ベアリングの錆などもチェック。
洗浄が終われば、パーツが完全に乾燥するまで待ちます。
水分が残っていたら、せっかくの新しいグリスが乳化するかもしれないのでアウトです!
スプールの組立て方法
パーツが完全に乾燥したら、組立てを開始します。
まずはスプール内のパーツが触れる所に軽くグリスを塗ります。
そしてオイルを注したベアリングを入れ、抜け止めバネで固定。
オイルには、粘度が高いボアードの「247」を使用しました。
そして、フェルト製のドラグ座金と金属製座金にもグリスを塗って、組み立てていきます。
特にフェルト製のドラグ座金には、たっぷりと多めぐらいに塗りこんでおいてください。
フェルト内部にもグリスが浸透するように、私は直接指で揉みこむように塗っています。
金属製の座金やドラグノブも回転時に擦れるので、グリスを塗っておきます。
パーツを組み込んでバネで固定したら、スプールの組立ては完了です。
メインシャフトのスプール受けの組立て方法
次はメインシャフトのスプール受けの組立てです。
まずはキムワイプやキッチンペーパーで、メインシャフトのよどれをキレイにふき取り、新しくオイルを注しておきます。
スプール受けの組立てですが、ここで注意するポイントがあります。
座金にはヘコミが、バネには突起があります。
この部分をうまくはめるようにして組立てます。
ここをちゃんとしないと、うまくドラグが作動しません。
次に金色のベアリングガイドにベアリングをはめます。
これらもオイルを注しておいてください。
組立てたパーツをメインシャフトに差します。
そして、メインシャフトの穴にネジを入れて固定。
あとは黒いスプール座金を入れれば、メインシャフト部分の組立ても完了です!!
スプールをメインシャフトにはめて動作確認しましたが、良い動き。
ドラグ音もキチンと出ます。
まとめ
今回の記事では、スピニングリールのスプールドラグのメンテナンス方法を解説してきました。
パーツの数も少なく、パーツも順番に抜き差しすれば良いだけなので、比較的カンタンなメンテナンスです。
多くの人は、ラインローラーやハンドルノブ、メインシャフトへのオイルを注すことぐらいしか、メンテナンスをしていないかもしれません。
しかしスピニングリールを使うならば、「ドラグのメンテナンス」も必須作業です!!
頻繁にする必要はありませんが、定期的なメンテナンスやドラグの状態確認は行った方が良いでしょう。
グリスがダメになっていた私のステラは、大きい魚がかかると本当にスプールの動作がカクカクになりました。
「スプールドラグのメンテナンスはしたことないなあ」という人は、これを機会に挑戦してみませんか?
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