シマノのメタニウムMGLをオーバーホールします

この記事では、シマノのメタニウムMGL HGのオーバーホールのやり方をご紹介したいと思います

16メタニウムMGLはスプールシャフトにベアリングが付いているため、そこも分解するには「ベアリングリムーバー」を用意する必要があります。

また、ドライブギア軸のベアリングを固定するネジがありますが、これが右ハンドルと左ハンドルではネジの回転方向が逆という注意点もあり。

しかし他の部分の構造自体は、13メタニウムとほとんど同じです。
落ち着いて作業すれば、オーバーホールがそこまで難しい機種ではありません。

それでは、16メタニウムMGLのオーバーホールの工程を解説します。

ハンドル部分の分解

まずはハンドル部分の分解
ここの仕組みは、どのシマノリールも大体同じです。

メタニウムMGLのハンドルとスタードラグ

分解した順番・向きで並べていきます。

ボディを開封

ネジを外して、ボディを開けます。
ネジの長さや形はそれぞれ違うので、注意です

ボディのネジが3本

そしてボディを開封。
ドライブギアの様子です。

メタニウムMGLのドライブギア グリスが少ない

この個体は、グリスが薄目で仕上げられていますね。
…少し薄すぎる気がします。

使用時間が短いので、まだまだキレイな状態です。

分解したドライブギアとピニオンギア

スタードラグ座金には、まったくグリスっ気がありませんね
サラサラの状態でした。

私の好みとしては、もう少しグリスを塗っておきたい。
メタニウムはジュラルミン製ギアでもあるので、こんなにグリスがなかったら、すぐにギアの歯が傷みうそう。

ドライブギア軸の分解

つづけて、ドライブギア軸の分解です。
メタニウムMGLは、Eリングではなく、「ネジ」でギア・ベアリング部分が固定されています。

メタニウムMGLのドライブギア軸のネジ

このメタニウムMGLは右巻きハンドルなので、このドライブギア軸のネジを外すときの回す方向は、ネジ回しの標準通り、”反時計回り”です。

しかし左巻きモデルの場合、このネジを外す時は時計回り”に回さないと外せません。

つまり、ドライブギア軸の底のネジは、右ハンドルと左ハンドルで、このネジの回す向きは逆になります。
失敗してネジ穴を潰さないように注意が必要です!

次は、白いプラスチックのウォームシャフトギア。

ドライブギア軸のネジを回す方向

どの機種の物も同じですが、写真で見えるように、平面にヘコミがあります。
写真の面のヘコミは4つで、反対面は一つです。

表と裏の向きが厳密に存在しているのかは分かりませんが、私は最初の組立時の向きと同じになるようにしています。
だから分解時、いつも向きの目印をメモしています。

実際のところ、どうなのでしょうか?
ともかく、ドライブギア軸の分解が完了。

分解したドライブギア軸のパーツ

ギア類を外したメタニウムMGLの様子です。

メタニウムMGLのクラッチカム

クラッチ部分の分解

次は、クラッチの分解
クラッチ部分は従来の機種と同じ作りです。

分解したクラッチパーツ

しかし、油断してクラッチバネが吹っ飛んでしまいました…
皆さまはバネを飛ばしてしまわないよう気をつけてください。

レベルワインドガードの分解

次は、レベルワインドガードの取り外しです。

レベルワインドのEリングと座金

ここは特に難しい所ではないのですが…取り外しの時にワッシャーがポロリと落下

ガードカバーと座金

たぶん、このネジ部分にあったと思われます。

分解図を見ても、ここにワッシャーがあるとは書かれていません。
個体差で、組立製造時に追加されたものと思われます。

ウォームシャフトギアの分解

ウォームシャフトギアを外していきます。
ウォームシャフトにも調整ワッシャーが使われています。

レベルワインダーのチューブと座金

これは分解図にもかかれているワッシャーです。
パイプの奥に残っていました。
見落として失くさないように注意です。

メタニウムMGLレベルワインドの分解が完了

レベルワインド組の分解完了。
大体の個体は、レベルワインド受けのワッシャーは一枚ですが、この個体は2枚ありました。

スプールベアリングの取り外し

ヘッジホッグスタジオのスプールベアリングリムーバーで、スプールのベアリングを外します。

メタニウムMGLのスプールのベアリングをリムーバーで外す

面倒ですが、スプールのフチを傷つけないように、セロテープで保護します。

サイドボディ部分の分解

最後は、両サイドボディの残ったパーツやベアリングの取り外しです。

メタニウムMGLのサイドボディを分解

これにて、メタニウムMGLの分解は完了です。

汚れなどは特にありませんでしたが、分解図にはないワッシャーの存在を見落としそうでした。
メタニウムシリーズには慣れていた分、予期せぬワッシャーには焦ります。

洗浄後、分解した順番にキッチリ並べて乾燥。
継からは、メタニウムMGLのグリスアップ・組立てのやり方を解説していきます。

ボディ回りのパーツの組立て

ボディ部分の組立ては集中したいので、最初に他のパーツを組み上げます。
そこで、ハンドル・スプール・両サイドボディを、ササッと組立て。

メタニウムMGLのハンドル、サイドボディ、スプールを組立てる

ハンドルノブの一つは、調整ワッシャーがきついのか、遊びの余裕がほとんどありませんでした。
私は少しカタカタ動く隙間がほしいので、座金を薄いものに変更。

レベルワインダーの組立て

ボディ部分の組立てを開始します。
まずは、ボディ内部を薄くグリスで塗ります。

ボディに保護膜として、薄くグリスを塗る

さて、組立ての最初はレベルワインダーからです。

ウォームシャフトギアの組立て

ウォームシャフトギアの端にある座金を忘れずに。
ウォームシャフトを入れた後、Eリングで固定します。

ウォームシャフトを入れて、Eリングで固定する

Eリングやワッシャーも、表裏といいますか、曲面処理面と平面の違いがあります。
分解時に面の向きをメモしているので、分解前と同じ向きで取り付けていきます。

ウォームシャフトピンを入れ、レベルワインダーの組立てが終了

ウォームシャフトピンを入れ、レベルワインダーの組立て完了しました。

クラッチの組立て

次は、クラッチ組の組立てです。
クラッチプレートとレバーを取り付けます。

メタニウムMGLのクラッチの組立て

駆動部分のクラッチプレートには、グリスをしっかりつけます。

クラッチカムの取り付け

バネが吹っ飛ばないように気を付けながら、クラッチカムを取り付けます。
ここのグリスアップは、しっかり行っておきたいです。

ドライブギア軸の組立て

メタニウムMGLのドライブギア軸は、Eリングではなく、ネジでの固定なので楽です。

ドライブギア軸の組立て

白いウォームシャフトギアの向きにも注意して、初期状態と同じ面の向きにセットします。

ドライブギア軸を取り付ける

そしてドライブギア軸を固定。
柔らかめのグリスを、飛び散らない程度に塗ります。

軸を回してウォームシャフトギアの動きを確認した後、ドライブギアとピニオンギアを取り付けます。

サイドボディのネジの締め方にこだわってみよう!

内部のパーツの位置が崩れないように、ゆっくりサイドボディを取り付けます。

サイドボディをネジで調整して取り付ける

サイドボディをネジで固定する時、ネジの締め具合で巻き心地に少し変化があります。

私のやり方としては、まず8~8.5割ぐらいネジをしめたら、そのままドラグやハンドルを付けて、組立てを完了させます。
その後、ボディのネジを少しずつ締めながら最もハンドルが軽くスムーズに回る位置を探していきます。

1本ずつ力いっぱいネジを締めてしまうと、ハンドルを回すときに、引っ掛かりのような重みが発生することがあります。

スピニングリールなら、ネジの締め具合による巻き心地の変化が分かりやすいですが、ベイトリールの方はわかりにくいです。
指先でハンドルを軽い力で回しながら、最適のネジの締め具合を探しましょう。

良い具合にネジを締めることができたら、メタニウムMGLのオーバーホールが完了です。

メタニウムMGLのオーバーホールが完了した

ヌルヌルとした、シマノらしい巻き心地に仕上がりました。
ジュラルミン製ギアのメタニウムでも、しっかりオーバーホールしたら、ヌルヌルな巻き心地になります。