シマノの12アンタレスをオーバーホール

この記事では、シマノの12アンタレスのオーバーホールのやり方を詳しく解説します

作業の写真を43枚掲載し、リールの分解や組立の初心者の人にも分かりやすいように工夫しました。
この記事通りにやれば、きっと12アンタレスのオーバーホールができます!

マイクロモジュールギアになってグリス切れしやすくなったといわれる12アンタレス。
しっかりメンテナンスすれば、ヌルヌルの巻き心地を維持できます。

今回オーバーホールした12アンタレスは中身が非常に汚れていました。
できればここまで酷くなる前に、オーバーホールを行うようにしたいところです。

それでは、分解の工程から紹介していきます。

ハンドルを外す

まずはハンドルを外します。
アンタレスのハンドルリテーナの固定ネジは、ハンドルの裏側にあります。

12アンタレスのハンドルのリテーナを外す

次にハンドル固定ナットを外します。
アンタレスのナットは普通のレンチでは外せないので、アンタレスに付属している専用のリールレンチを使いましょう。

ハンドルナットを12アンタレス専用のレンチで外す

中古リール購入などで付属レンチが無い場合は、釣具店から専用レンチを注文するのがオススメです。
値段は400円程度です。

座金の周辺に異物が絡んでいます。

泥で汚れた座金

普段のメンテナンスを行われていないリールだと、切れ藻などが絡んでいる場合があります。

ハンドル部にあったゴミ

ハンドルから座金までを外し終えました。
慣れていない方は、順番・向きがわかるように、きちんと並べておきましょう

外したパーツは順次パーツクリーナーへ投入していきます。

12アンタレスのハンドルとスタードラグ

サイドボディを開ける

ネジを4本外して、ボディを開けます。これは汚い…。

泥で汚れた12アンタレスの内部

ローラークラッチが少し錆びています!

錆びついた12アンタレスのローラークラッチ
釣行後の乾燥がしっかりできず、錆びてしまったのかもしれません。
このローラークラッチが錆びていると、巻き心地を悪く感じるようになります。

ドライブギア・ピニオンギアを外す

ドライブギアとピニオンギアを外します。
かなりドロドロに汚れています。乾燥がうまくできていないようです。

泥で汚れた12アンタレスのドライブギアとピニオンギア

ギアの歯の間にも汚れがあります。

マイクロモジュールギアの歯の間に汚れがある

下の写真のような異物がポロポロ落ちてきます。
汚れが多い琵琶湖・南湖の釣り人のリールなので、もウィードのカスやゴミが付着していました

リール内部にたまったゴミ

下の写真はギアを外した後の様子です。
写真ではわかりませんが、本体表面を謎の薄い膜のような汚れが張っていて、こするとポロポロ落ちます。

クラッチカムとドライブギア軸

このあたりで、本体B組(SVSブレーキ側)を外します。
小さいEリングを取れば、外せます。

内部まで濡れているサイドボディ

ちなみに、私はEリングの付け外しはマイナスドライバーで行っています。

ドライブギア軸を外す

次はネジ2本外して、ドライブギア軸を外します。

12アンタレスのギア軸のベアリング等はEリングで固定されていますが、16年モデル以降の新上位機種は、ネジによる固定に変更されています。

12アンタレスのドライブギア軸

ドライブギア軸のパーツを分解

上部のカバーを外す

次は上部のカバーやレベルワインドのカバーを外していきます。
外したネジが増えてくるので、ネジの種類・位置がわかるように並べておきましょう。

12アンタレスのサムバー

アンタレスのレベルワインドガード

クラッチ・レベルワインダー組の分解

レベルワインダー周囲の様子ですが、これは汚い!
日常のメンテナンスで、もう少し汚れを取り除いておいてほしいところです。

ゴミが溜まったレベルワインダー

次は、クラッチヨークのパーツを外します。
バネが飛んでいかないように、しっかり押さえながら、注意して外しましょう

クラッチカムを分解

クラッチレバーを分解

次はレベルワインダーの分解です。

レベルワインド受けの所に小さい座金が入っているので、無くさないように注意しましょう
(個体によっては、初めから無いものもあります)

レベルワインドのキャップの座金

ウォームシャフトギアのEリングを外して、ウォームシャフトギアを分解します。
座金も複数あるので、順番が分かるように並べておきましょう。
12アンタレスのレベルワインダーを分解

他のパーツの分解

最後に本体Aシートを外して、本体の分解完了になります。

カバーの取り外し

さらに、メカニカルブレーキノブも分解してキレイに清掃します。

12アンタレスのメカニカルノブを分解

ハンドルノブも分解です。

12アンタレスのハンドルを分解

これで、12アンタレス分解は完了しました。

12アンタレスの分解が完了

汚れが強烈なので、パーツクリーナーに浸けたぐらいでは全く落ちません。
ブラシと洗剤を使い、しっかり洗浄していく必要があります。

組立前に、必ず清掃をしよう!

写真で見える以上にドロドロの汚れがリール内部にたまっていて、触るのが少し嫌になるほど。
みなさんは、リールがこれほど汚れる前にオーバーホールしましょう。

この12アンタレスはかなりヘビーな汚れが付着していますが、これをしっかり除去しないと、グリスアップの工程に移れません。

汚れを中途半端に残したままでは、オーバーホールの価値が半減します
面倒くさがらずに、丁寧に掃除することが大切です!!

クリーナーで落ちない汚れをブラシで除去

分解時にパーツをクリーナーへ投入していますが、その程度では全く汚れは落ちません。
油分を落とすだけで、汚れは残ります。

ダイソーの瓶でベアリングを洗浄

そこで、汚れの残っているパーツをブラシと洗剤で洗います
一応、細毛で柔らかいブラシを使用。

ギア洗浄に使うブラシ

パーツはすっかりピカピカになりました。
どうせオーバーホールをするならば、しっかり汚れを落とす事を大切にしています。

汚れや異物が残っていたら、せっかく新しいグリスやオイルを塗っても、違和感に繋がってしまいます

洗浄してキレイになった、12アンタレスのサイドボディ

清掃してキレイになったマイクロモジュールギア

レベルワインダーの組立

私は表面保護も兼ねて、ますボディ全体を薄くグリスで塗ります。

ボディの表面をグリスで保護

まずは、レベルワインダーを組み立てます。
Eリングのはめ込みも、私はマイナスドライバーで行っています。
Eリングを飛ばして無くさないように注意しましょう

12アンタレスのレベルワインド組の組立て

クラッチの組立

次はクラッチ部分の組立です。
下の写真は洗浄前ですが、この部分がもう腐食したのか、少しボロボロになっています。

12アンタレスのボディの腐食

クラッチプレート等の可動部分には、しっかりグリスを塗っておきましょう。

クラッチレバーの組立て

次はクラッチツメをはめ込みながら、クラッチカム抑え板を固定していきます。

クラッチツメの組立て

この時も、バネを飛ばさないように注意しましょう。また、バネの向き間違いに注意です。

これを組み立てたら、クラッチがしっかり動くか確認しておきましょう。

上部カバーの取り付け

このあたりで、上部カバーのサムレストやレベルワインドのカバーを取り付けましょう。
ネジの太さや長さに違いがあるので、間違えないように注意してください。

12アンタレスのボディカバーの取り付け

ドライブギアの組立

次はドライブギア軸の組立、取付です。座金も忘れないように。

ドライブギア軸の組立て

ボディにドライブギア軸を取り付ける

このあたりで、ボディのサイド組も組み立てましょう。
きっちり洗浄したベアリングを取り付けます。

ローラークラッチもクリーナーと洗剤と綿棒で、可能な限りの錆びを落としました。

サイドボディ(パーミングカップ)の組立て

ベアリングをバネで固定

ドライブギアとピニオンギアを取り付けて、ギア組の組立完成です。
12アンタレスのドライブギアを取り付ける
ちなみに、グリスを塗るときは筆を使って塗っています。

サイドボディ・ハンドルを付けて完成

サイドボディとメインフレームを組み合わせる時、この小さいバネの取り付け忘れに注意です。

サイドボディのバネを忘れないように

ナット、座金、ハンドルを順番に取り付ければ、組み立て完了です。

オーバーホールが完了した12アンタレス

12アンタレスのオーバーホールのまとめ

ドロドロの汚れや錆びが強くあった個でしたが、アンタレスらしい非常に滑らかな巻き心地に復活させることができました。

普段の釣行後のメンテナンスでもう少し汚れを取り除き、更に乾燥もしっかりしていて欲しいリールでした。

個人的にも、他のオーバーホールする人から聞いた話でも、12アンタレスはリール内部に水が浸入しやすい傾向を感じます。

汚れも入りやすかもしれないので、定期的なメンテナンス・オーバーホールをオススメします。